夏場の土用の丑の日が近づくとスーパーの鮮魚売り場が慌ただしくなります。
理由は夏の風物詩として、ウナギを売り場に並べるため。
この時期はどんなに値段が高くても、他の魚の水揚げがあっても売り場のメインはウナギ一色になります。
ちなみにウナギの旬は夏とばかり思われがちですが、本来の旬は水温の下がる冬に向けて栄養を蓄えた秋から冬になります。
一説には江戸時代、味が落ちて売れなくなった夏場のウナギを売るためにウナギ屋の主人が平賀源内という人のところに相談にいったところ、「土用の丑の日うなぎの日 食すれば夏負けすることなし」と書いた看板を店先に張るようすすめられ、その店が大繁盛したことがルーツとなったと言われています。
要は栄養豊富なウナギを食べて夏バテを乗り切ろうと謳ったわけですが、その戦略は多当たり。
いつの時代も商売上手な人はいるものです。
ちなみにそんなウナギは、実際に各種栄養面で優れているといえるでしょう。
たとえば免疫力増強に効果があるとされるビタミンAは、ウナギ1串(120g)あたりで成人が必要とする3日分の量を含むとされます。
他にも炭水化物がエネルギーとなる補助をするビタミンB1、カルシウムの吸収を促進して骨・歯を丈夫にするビタミンD、動脈硬化予防に効果があると言われるビタミンEなど、各種豊富な栄養素を含んでいます。
なるほど、江戸時代に栄養豊富なウナギで夏バテを乗り切ろうと謳った平賀源内の言葉はあながち嘘じゃなかったわけですね。
しかしこのウナギという魚、はっきり言ってダイエットには向いていません。
その理由は3つあります。
まず1つ目はウナギ自体が相当の高カロリーであること。
うなぎ可食部100g当たりのカロリーをまとめると以下のようになります。
うなぎ(生)・・・255kcal
うなぎ(蒲焼)・・・293kcal
うなぎ(白焼)・・・331kcal
脂身のついた肉類と比べたらたしかに低カロリーかもしれませんが、おおよその白身魚が100gあたり100kcal~150kcaであるのに対し、鰻は300kcalと魚にしてはかなりの高カロリーです。
美味しさを求めるなら仕方ありませんが、ダイエットを行う上でまず重要視すべきは食べる食材のカロリーです。
他にもっとたくさんヘルシーな魚があるのに、ダイエットを行う上でわざわざ高カロリーなウナギを食べる必要はありません。
2つ目の理由はご飯との相性がいいということ。
基本的にダイエット中に避けるべき食材はまずは油脂、次に炭水化物となります。
もちろんまったく取らないのはよくありませんが、この2つの栄養素は主にエネルギーとして消費されるので、あまった分はすべて体脂肪として体内に蓄積されてしまいます。
食事によるダイエットを行う場合は、この2つの栄養素をいかにコントロールするかが1番のポイントとなります。
話をウナギに戻すと、ウナギはほとんどがご飯の上にのったうな丼、もしくはうな重といった形で提供されます。
当然ですが、丼物に使用されるご飯の量は、どんぶりを使用しているので茶碗を使用した場合と比べて多くなります。
つまり、ウナギを食べると必然的に炭水化物であるご飯を多くとってしまうのです。
定食や単品にしてご飯の量を減らすという方法もありますが、蒲焼の甘辛いタレとご飯の相性は抜群です。
普通の人ならなんら問題ないのでしょうが、ダイエットという極度に食事制限を行っている精神状態でご飯と相性のいいタレを食してしまうと、今までの我慢も忘れ暴食してしまう可能性もあるので、なるべく食べない方がよいでしょう。
3つ目の理由はその価格にあります。
一時バナナダイエットやリンゴダイエットといった単品ダイエットが流行したことがありました。
はっきりいって果物だけを毎日食べ続けるという行為なんざ続けられるわけもないのですが、テレビに影響された主婦たちがスーパーに駆け込み、ほとんどの人が挫折してゆきました。
こういった単品ダイエットがたびたび流行するのは、その食材が安価で手軽にチャレンジできるためです。
バナナやリンゴなんて、どこでも売っていますし大して高いものではありませんからね。
しかし、同じ味のものを毎日食べ続けるとどうしても飽きがきてしまいます。
1週間もすれば他の物が食べたくなるのが目に見えています。
ただ魚の場合だと魚種を変えたり、調理法を変えたりと変化を楽しむことができるので食べ続けることはそんなに苦ではないと思います。
価格もアジやサバといった大衆魚だとたいして高くはありません、まあちょっと調理が面倒ではありますがね・・・。
しかし、ウナギとなると訳が違います。
アジやサバといった魚が1匹数百円、下手すれば100円で売られている横でウナギは1匹1000円以上で売られている場合がほとんどです。
国産物などになると1匹2000円を超える場合もあります。
こんな高い食材を購入し続けることは、はっきり言って一般家庭では相当厳しいでしょう。
よほどリッチな方ならいいですが、一般庶民の人ならばおとなしく安価な他の魚を買うようにしましょう。
またアジという魚は安価な上に刺身、フライ、焼物など様々な調理法が楽しめますが、ウナギの場合はほぼ100%蒲焼以外の食べ方はなく、必ずいずれ飽きがきます。
高くて高カロリーで調理法は蒲焼だけ。
たしかにウナギは美味ですが、ダイエットをするならばもっと安価で低カロリーな魚はたくさんあります。
たまの贅沢以外には食べるべきではないでしょう。
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