「1カ月で体重-10kg!」
ダイエットを志す方ならばこんな謳い文句一度は見たことあるのではないでしょうか?
たしかに10kgも痩せれば体の見た目は見違えることでしょう。
ましてや1カ月でそれだけ落とせるとなると、ダイエットに費やす時間も労力も少なく済みます。
しかし、実際に1カ月で10㎏もの体脂肪を燃焼させるのはほぼほぼ不可能であると言えます。
人間の体はそう都合よくできておらず、一度体についた体脂肪というものはなかなか無くすことはできないのです。
ではそれは何故か?
ここでは「我慢」や「気合い」といった根性論は抜きにして、現実的な数字を基に解説していこうと思います。
そもそも体脂肪1kgを燃焼させるのに必要なエネルギーは7200kcalと言われています。
単純に計算して10kg分の体脂肪を減らすとなると、72000kcal分のエネルギーを消費しなければなりません。
この数字を食事制限で実現するにはどれくらいまで摂取カロリーを抑えればよいのでしょうか?
たとえば個人差はありますが、中程度の生活強度(立ち仕事、営業)の生活を送っている20代の男女の1日の総消費カロリーは男性で約2500kcal弱、女性の場合だと約2000kcal弱となります。
単純に計算して20代の男性の場合は3日間、女性の場合は3.5日間何も食べなかったとして脂肪1kg分のカロリーを消費できる計算になります。
つまり男性の場合は30日間、女性の場合は35日間何も食べずに普通の生活を続けた場合、ようやく体脂肪10kg分のエネルギーを消費できることになります。
この時点で1カ月で体重を10kg減らすということがいかに無謀であるかご理解頂けると思います。
しかもこれはあくまで理論値に過ぎず、実際にこういった絶食で体重を減らした場合、脂肪分のみならず筋肉も失ってしまいます。
つまり単に体脂肪を10kg無くすとなると30日以上の絶食が必要となります。
では運動で痩せることは可能なのでしょうか?
一般的にダイエットの最も用いられる運動はランニングです。
このランニングなのですが、例えば体重60kgの人がフルマラソンの距離約42kmを走った場合、消費されるエネルギーはおおよそ2500kcalほどです。
これはおおよそ脂肪350g分のエネルギーになります。
つまり単純に計算して、1カ月にフルマラソンを30回ほど行えば体脂肪10kg分のエネルギーを消費することができます。
1カ月の絶食に比べればまだこちらの方が実現可能な気がしますが、一般的な会社務めの人が毎日40kmもの距離を走るなんてことはあまり現実的なことではありません。
しかも、この場合もすべてのエネルギーが体脂肪から消費されるわけではなく、食べた食物や筋肉中のグリコーゲンなども当然消費されます。
つまり実際には1日40km走るという習慣を1カ月続けたとしても、体重10kgを落とすにはまだまだ足りないわけです。
いかがでしょうか?
簡単に解説させて頂きましたが、体脂肪10kgを1カ月で減らすということがいかに無謀であるかお分かり頂けたと思います。
単純計算で1カ月絶食するかフルマラソンを毎日行えば体脂肪10kg分のカロリーを消費することができます。
つまり常識的に考えて1カ月に10kgの体脂肪を燃焼させるということは不可能に近いのです。
中には「いやいや1週間で5kgは落ちたよ」とおっしゃる方もいるかもしれません。
しかし、そういった場合減った体重の内訳はほとんどが水分です。
人間の体内には相当の水分が含まれており、また肉や果物といった食べ物の主要構成物は水分です。
こういった水分が運動による発汗や排泄、また食事制限による摂取量の減少により体内から減少した結果、短期間でkg単位の体重が減少したに過ぎません。
実際のところは、上記した通り体脂肪1kgを減らすには7200kcalものエネルギーが必要となります。
これをなくすためには、コツコツと日々の積み重ねで少しずつ減らしていくしか方法はありません。
非現実的なダイエット方法に騙されず、正しい知識できちんとしたダイエットを行えるようにしましょう。
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