このブログを読んでいるあなたが日本在住の方であれば、「魚」に関しては相当に恵まれているといえます。
これほどまでに豊富な種類の魚が食べられる国は世界にも類を見ません。
また高度に発達した漁獲・輸送技術によって水揚げされた魚が翌日には東京や大阪といった大消費地を始め、日本中のスーパー・小売店に並ぶため、鮮度も抜群のものが手に入ります。
こうした光景は海外では見ることができません。
たとえば以前私が中国の上海に行った時のことです。
当時は旅行で訪れており連日中華料理を食べていたのですが、ふとさっぱりとした寿司が食べたくなり市内の高級百貨店へと足を運びました。
そこで見た寿司はなんと8カン入りのうちすべてがサーモンといった代物。
味に関しては日本のスーパーで売られているパック寿司と遜色ないものでしたが、日本だとスーパーのパック寿司ですらマグロやアジ、タコやアナゴといった豊富な魚種が楽しめます。
この当たり前の光景が海外では非常に難しいのです。
また海外では魚の取り扱いも雑なため、たとえ魚手に入ったとしても刺身で食べられないということが非常に多いです。
日本のようにその辺のスーパーで生食できるレベルの魚が当たり前に置いてあることは、実は非常に稀なことなのです。
そしてそこで更に魚を美味しく食べるこつとはなんでしょうか?
それは魚の旬を味わうことです。
この旬というのは肉にはない魚のみの特権であり、この時期になるとより一層美味しくなった魚を楽しむことができます。
しかし、なぜ魚には旬というものが存在するのでしょうか?
これには魚の産卵が大きく関与しています。
一般に魚の善し悪しは鮮度ももちろんですが、その他では脂の乗り具合でその価値が決まります。
築地などの市場で働いている魚屋のプロ達は長年の経験から魚を見たり触ったりするだけでその魚に脂があるのかどうかを判断して値段を付けます。
そして産卵を目前に控えた魚は多くの餌を食べエネルギーを体内に蓄えようとします。
これがいわゆる脂の乗りのこと、つまり産卵を控えた旬の魚は普段よりも多くのエネルギーを蓄えているため脂が非常にのっており、そうでない時期とくらべ各段に美味しくなっているのです。
逆をいうと産卵を終えた魚は卵にエネルギーを取られてしまっているので、身に脂も乗っておらずパサパサして美味しくありません。
以下が主な魚の旬の時期になるので参考にして下さい。
春 タイ サワラ
夏 スズキ コチ キス カンパチ ヒラマサ
秋 サンマ サケ サバ
冬 ヒラメ ブリ タラ フグ アンコウ
また魚は旬の時期になると普段と比べて安く購入できることができます。
これは旬の時期になると産卵を行うために魚が沿岸に押し寄せ、大量に漁獲されるためです。
例えば天然のマダイと言われるととても高級な魚というイメージがあると思います。
確かに明石や阿久根といった有名所の釣り物や活魚のタイは非常に高値で取引されていますが、実は巻網や定置網といった大型の網で群でまとまって水揚げされることも珍しくありません。
特に旬を迎える春先になるとその量は尋常ではなく、1度の水揚げでトン単位ものタイが獲れることも珍しくありません。
この時に漁獲される天然マダイの市場での卸売価格は水揚げ状況にもよりますが、おおよそキロ当たり600円前後で取引されることが多いです。
一般に流通しているマダイの大きさはおおよそ2kg前後のものがポピュラーと言えます。
つまり天然のタイが1匹約1200円前後で取引されているのです。
この時期になるとスーパーも価格が安いため養殖ではなく天然のタイを販売するようになります。
これ以外の時期だとまとまって取ることができないため、スーパーといった安価な店に並ぶことはできません。
つまりマダイの旬の時期である春にしか天然の物は一般には手に入れることができないのです。
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